過多月経 漢方 処方

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「精」の乱れを伴う月経過多に関して 月経過多の漢方処方その4

 

漢方薬治療では、体調を決める要素を四つに大別して、それぞれの調子を見て、それらに対する対応を考えることで処方を決めます。

 

その四つとは「気」、「血」、「水」、そして「精」です。

 

 

「気」とは「元気」の気と考えてもらうとわかりやすいです。

 

これが足りないと青白く元気がない印象、これが過剰だと暑苦しい印象、そんな感じで大雑把にイメージしてください。

 

ちょうどよい人が健康的です。

 

 

「血」はそのまま血液にかかわるものと考えてもらえばいいです。

 

血液そのものの濃さ、循環の良さ、血管の柔らかさなど血液そのもの、あるいはそれが流れる部分の調子です。

 

足りないと末梢まで血がいかない、たまっちゃうとうまく流れなくて内出血みたいに痛みや不調が出ます。

 

 

「水」はリンパ液や細胞間液など、血液ではないけれども体の大事な構成成分です。

 

これの新陳代謝がうまくいかないとむくんだり、元気がなくなったりします。

 

足りないと免疫力が落ちます。

 

 

さて、ようやく「精」についてです。

 

「精」はその人の先天的な体質や、ホルモン産生能力を指すと考えてもらうとわかりやすいです。

 

月経過多に絡んでこれの中心的な役割を果たすのが「腎精」です。

 

腎精はお腹の、特に骨盤付近のホルモン産生臓器やホルモン反応臓器をコントロールしている力であり、これのバランスがとれていることが非常に重要になってきます。

 

女性の場合、西洋医学的に考えれば卵巣、子宮、脂肪、筋肉、皮膚などです。

 

 

卵巣や子宮はともかく、どうして脂肪や筋肉や皮膚が入ってくるのか不思議に思われるかもしれません。

 

実際、これらの組織はエストロゲンやビタミンD、さらに、さまざまな「サイトカイン」と呼ばれるペプチドホルモンのようなものを出しています。

 

一つ一つの細胞が産生する量は微量ですが、脂肪も筋肉も皮膚も人体の構成成分として非常に割合が大きい臓器です。

 

 

これらの様々な臓器の産生する物質(腎精の本体であると私は考えています)が、体の勢いをあげる方向に働けば「陽」、勢いを抑える方向に働けば「陰」です。

 

陰陽のバランスが取れているときはいいのですが、これがどちらかに大きく傾いたときに体の不調が出てくるのです。

 

月経過多などの子宮の諸症状に影響が出るときには主に陰の方に傾いている場合が多いようです。

 

 

さて、「精」は本来の体質や先天的なものであると書きました。

 

それなのにそれがどうして乱れるのでしょうか?

 

 

先天的とはいっても、様々な要素で変わります、その最大の要因は加齢です。

 

加齢に伴ってホルモン産生能力が落ちていく、これはもう人間にはあらがいようがありません、自然の摂理です。

 

このときに陰陽のバランスがそのままで減っていく場合はいいのですが、バランスが乱れやすいのです。

 

 

では、バランスを乱す要因は何か?

 

バランスを乱す、それどころか腎精の発現量にも影響を及ぼすのが、食べ物や生活習慣です。

 

 

寝不足になると肌があれる、ショックなことがあると生理が止まる、デブになるとインスリンが効かなくなって糖尿病になりやすい、

 

などなど、自分自身の体が様々な影響を受けることはみなさんわかっていますよね。

 

これが乱れると生活習慣病や心臓疾患、月経過多などの様々な身体症状につながるわけです。

 

 

「腎精」の乱れを直そうという漢方薬、いくつかあるのですが、私個人的にはこれに頼るのは後回しにすべきだと思っています。

 

精の陰陽バランスを漢方だけで変えるのは少し難しいと思います。

 

最も大事なのは食事と生活習慣(運動と睡眠)を改善することで、これを正しく行うだけで、薬はあえて必要ないように思うのです。

 

 

でも、あえてということで説明しておきます。

 

さまざまな「地黄丸」が用いられます。

 

 

4−1.八味地黄丸 陽虚に使います 

 

陰虚では水分が足りないのに対して、陽虚では熱が足りない状態です。

 

体全体のエネルギーが不足している状態です。

 

八味地黄丸は、陽虚で下がっている腎精を補い、ホルモンの働きを高めることができると考えられています。

 

 

腰痛の強い月経過多がある方で、皮膚に違和感やかゆみがある方に効果があるとされます。

 

腎臓が疲れている方に効果的ですが、腎機能が完全に悪い方の場合には使用上の注意が必要です。

 

(西洋医学的に考えると皮膚の末梢神経の働きが混乱している状態です、微量栄養不足などで感覚神経の神経伝達物質の放出や受取に問題が起こっている状態かなと考えられます。)

 

虚証の方限定と考えておいた方が良いです、長期の服用は実証の方には過剰な力を与えることになってよくない可能性があります。

 

 

4−2.杞菊地黄丸 肝臓と腎臓と眼精の働きを強める

 

上の八味地黄丸の変化球というか、六味地黄丸に、目の働きを強める枸杞子と菊花を加えて、更年期に衰えてくる諸症状を補おうというものです。

 

「六味地黄丸」自体が虚証に向けて使うものではあるものの、暑がりの人向けです。

 

虚弱な暑がり屋さんという、痩せてて冷え性だったのが更年期が近づいてのぼせ(ホットフラッシュ)が少し出てきたかな、というタイプの人向けですね。

 

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