月経過多 漢方

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漢方薬による治療の考え方

 

漢方薬の処方は「証を診る」と言って、その人の体質をまず診断することから始まります。

 

おおまかには「虚」なのか「実」なのかです。

 

それに加えて、今その人の体の状態がどのような状態になっているかを、気・血・精・水という四つの評価基準から判定します。

 

 

少なくとも私が医学部に通っていたころには授業で漢方について習うことはありませんでした。

 

したがって、漢方薬の処方に詳しい医師のほとんどが独学、もしくは中医学を研究しているような教室に卒業後に進んで学んでいると思います。

 

(留学して外国で学ぶ人もいます、中国とは限らず)

 

私の場合、研修医の二年目で勤務していた病院の産婦人科当直室に置いてあった、産婦人科医向けの漢方薬に関する入門書的な本が教科書です。

 

 

漢方処方でちょっと困るのが、西洋医学と違っていくつかの考え方や派閥によって処方する内容が微妙に違うことです。

 

基本的な考え方が派閥(中心となる先生)それぞれだし、それに個人個人の独自の考え方と経験も混ざってきて、聞けば聞くほどわからないこともありました。

 

本当にいろいろあるなあ、自分のスタイルを確立するのはいつまでたっても難しいのかもなあ、というのが私の印象です。

 

 

「何を言っておるか、中医学は理論と経験に裏打ちされた「個の医療」であるからして、患者一人一人に対して処方が変わるのが当たり前だろうが!」

 

と言って怒られそうですけど、同じ患者さんが漢方ドクターや漢方薬局を梯子してみたら、言われたことも処方薬も完全一致したことは一度もない、ということ、しばしば聞きます。

 

 

でも、対極にある保険診療って、診断名が決まったら決まった処方の中からしか選べない、しかもそれを医療経験の少ない厚生労働省の医系技官が決めてしまうものです。

 

そんな保険診療と比べたら、漢方医の先生の方が「個人としての責任とプライド」は強く感じながら仕事されているかもしれません。

 

 

 

 

・・・え?

 

御託はいいから早く月経過多に効果的な漢方薬処方を教えろ?

 

はい、すみません。

 

 

それなら漢方処方のために避けて通れない証の概念の説明から参りましょう。

 

 

漢方では、同じ症状であっても、それに対する薬が体質や気質で大きく変わってきます。

 

その人の持つその体質や気質をまとめて「証」といいます。

 

これは「虚」か「実」かで分ければいいでしょう。

 

 

「虚」、これは最近の20代の日本の女性はここに入ってる人が非常に多い気がします。

 

やせてて、色白、筋肉が少なくて冷え性。

 

お腹を押すと腹筋の抵抗がありません。

 

食欲も乏しく、ちょっと長い時間たっていると具合が悪くなる。

 

貧血や立ちくらみがしばしば見られます。

 

 

「実」、これはまさしく「虚」の裏返しです。

 

がっちりして筋肉質、血色がよい、ときに赤いほっぺ。

 

お腹を押したときに抵抗があります、筋肉も触れます。

 

食欲も旺盛で、体力があり、寒さには強いです。

 

のぼせやすい、汗っかきの傾向もあり。

 

 

このどちらであるかをまず判定して、それから現在の状況について考えます。

 

ただし、証はその人の固有のものでありながら、一定していません。

 

食生活や運動習慣、あるいは妊娠を契機になど、つねに変化するものです。

 

基本的な傾向はあるものの、その人のその時点での生活パターンに影響を受けて変わることができるものなのです。

 

(さすがに骨格までは変わりにくいですが)

 

 

ですから、漢方処方の場合、頻繁に診察して、診察した時点での「証」に応じて薬を処方することが重要になってきます。

 

 

 

証について判定した後、次に病態を判断するときに指標となるのは以下の四つの言葉です。

 

気(精神作用)・精(ホルモン作用)そして血(血液・循環)・水(体液・細胞間液)

 

これらの四つに関して、それがどのような状態にあるのか、

 

陰(冷えている)・陽(熱を持つ)、虚(足りない)・実(余っている) の判定をします。

 

(ちょっと証の虚実とかぶるので混乱しますよね。)

 

 

数学の好きな人にわかりやすく説明すると、X軸の正に実、負に虚、Y軸の正に陽、負に陰を配置したグラフを用意します。

 

そのグラフの中で気・精・血・水がどこにあるかを、漢方医、あるいは薬剤師が診察によって判定し、その組み合わせで薬を選ぶというものです。

 

 

漢方薬の処方はそのような診断がきちんとできて初めて効果的な処方箋が書ける、と考えられています。

 

 

基本的には人の体に手を触れての診察ができるのは医師などの国家資格を持つ人だけですから、漢方薬を自分の判断で買うのには注意が必要です。

 

疾患名がわかったからネットで調べてそれに合う漢方薬を買う、というわけにはいかなくなります。

 

 

専門家に診てもらって処方を受けた薬を継続的に買う場合でも、一か月以内の追加にとどめておきましょう。

 

証や気血精水が変化していると効かないだけでなく、好ましくない状態に陥る可能性もありますから。

 

 

 

 

そのうえで、参考までに、具体的な処方については個別記事を見てくださいね。

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