月経過多 肥満

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肥満で女性ホルモンバランスは乱れるの?

肥満している女性のホルモンバランスは必ず狂うのか?

 

けっこう気になる問題ではないでしょうか。

 

 

肥満している女性(BMI25以上)では生理が乱れやすいというのは統計学的にもよく知られた話です。

 

最近の論文で見た統計では(といっても2009年のものですが)、BMI25以上の266人の女性を調査したところ、

 

57人(21.4%)が月経が少なくなり、38人(14.3%)では月経過多、あるいは回数が多くなるとの報告でした。

 

生理がきちんときているのは残りの171人(64.3%)でした。

 

J Endocrinol Invest. 2009 Feb;32(2):98-101.
Abdominal fat accumulation, and not insulin resistance, is associated to oligomenorrhea in non-hyperandrogenic overweight/obese women.
De Pergola G, Tartagni M, d'Angelo F, Centoducati C, Guida P, Giorgino R.

 

 

肥満したら必ず生理が狂うわけではありませんが、実に4割近くの方で月経異常が起こっているのですね。

 

ホルモンバランスはおそらく、生理がきちんと来ている人でも正常の中心値からは離れているのではないかと思います。

 

BMI30以上の肥満の方の場合(156pなら73sがBMI30ですね)、もっと高い確率で生理不順に悩まされているようです。

 

(出典は探せませんでしたが、以前に誰かの論文のdiscussionで読んだ記憶があります。)

 

 

 

上の統計からも明らかなように、肥満の場合、生理が乱れます。

 

稀発月経になりやすいのですが、反対に月経過多の人もある程度いらっしゃいます。

 

また、生理の間隔があく稀発月経の人でも、たまにきたときには、どかんと出血があって過多月経に悩まされている方も多いです。

 

 

 

肥満だとどうしてこういうことが起こるのでしょうか?

 

原因としてのメカニズムは複数考えられています。

 

以下にできるだけわかりやすくと、書いてみました。

 

でも、難しいので、無理して読まなくていいですからね。

 

 

1.インスリン抵抗性の上昇が卵胞発育をブロックしている

 

血糖値を下げるために膵臓から分泌されることで有名なインスリンは、食後血糖を下げるだけでなく、様々な機能を持っています。

 

卵巣においても卵胞上皮細胞である顆粒膜細胞や、それを取り巻く莢膜細胞、さらには間質細胞や、卵巣表面を覆う中皮細胞に働きかけることが考えられます。

 

インスリンはインスリン受容体という分子を介して細胞にスイッチを入れ、さまざまな働きをするのですが、肥満していると、このインスリン受容体から下のシグナル伝達がおかしくなることが知られています。

 

(インスリン抵抗性の上昇と表現します。)

 

肥満がなぜこれを阻害するのかですが、肥満者の内臓脂肪ではマクロファージという白血球が活性化してTNF-αやIL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカインを出し続けているというのが原因ではないかと考えられています。

 

内臓脂肪が増えていることが元凶というわけです。

 

 

2.脂肪細胞がエストロゲンを作ってバランスを崩す

 

これは鶏と卵的な話でもありますが・・・

 

脂肪細胞はエストロゲンなどのステロイドホルモンを作りやすい細胞です。

 

一定量以上の脂肪がある人ではエストロゲン濃度が上がります。

 

子宮内膜癌が太っている人で多い理由の一つであるとも考えられています(子宮内膜癌はエストロゲン反応性ですから)。

 

 

この脂肪由来のエストロゲンが恒常的に産生されているので、卵巣で周期的に上がったり下がったりするエストロゲンやプロゲステロンの作用がマスクされる、という考え方ですね。

 

ただ、脂肪細胞で作られるエストロゲンの量は、卵巣が正常で正常な量の卵胞ホルモンが分泌されている人ではそれほど生理に影響を及ぼすような量ではないとも考えられています。

 

ですから、すでにバランスが崩れている卵巣への影響は大きいかもしれませんが、最初にこれが原因になるわけではないと考えられます。

 

 

3.食後高血糖とインスリン分泌による血糖値の乱高下が脳神経系を乱す

 

肥満している人のほとんどがスイーツ大好きですし、ご飯や麺類、ジャガイモやコーンも大好きです。

 

砂糖やでんぷんを過食する傾向にあります。

 

これらは速やかに消化されてブドウ糖や果糖、つまり糖質として体内に吸収されるのですが、これが食後高血糖状態を引き起こします。

 

実はこのとき、βエンドルフィンという快感物質が脳の特定部位で上昇することが知られています。

 

 

一方、大量の糖質を摂取すると高血糖になります。

 

高血糖状態はたんぱく質を糖化することにより、血管内皮の機能などに悪影響を及ぼすので、体はそれを急いで下げようとします。

 

そのために膵臓から大量のインスリンが放出されて血糖値が下がるのですが、ほとんどの場合、効きすぎて今度は血糖値が下がりすぎます。

 

低血糖状態で眠くなります。

 

(食後2〜3時間でものすごく眠くなるのはこれが理由です。)

 

 

この血糖の乱高下は脳神経系の機能が正常に働くのを妨げます。

 

卵巣機能を制御しているのは脳下垂体、およびそれを制御する脳視床下部ですが、この辺も強い影響を受けます。

 

このために卵胞発育や排卵が乱されて、生理も乱れていくというわけです。

 

 

 

以上のような原因が考えられます。

 

これを解決するにはどうすればいいのか?

 

 

ダイエットして痩せればすべて解決です。

 

言うは易しですけどね。

 

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