橋本病 月経過多

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橋本病(甲状腺機能低下症)は、なぜ月経過多になるの?

 

橋本病は慢性甲状腺炎ともいわれますが、自己免疫反応によって甲状腺の機能が抑えられてしまう病気です。

 

甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を刺激するホルモンで、出すぎると汗っかきでやせ気味になりますが、橋本病のように甲状腺の機能が抑えられると、新陳代謝が悪くなり、むくんで元気もなくなります。

 

このときに、生理はどうなるかというと、過多月経になったり、周期が短くなったり(28日が25日とか)、月経期間が長くなったりします。

 

(反対に、甲状腺機能亢進症では生理の間が空いたり、無月経になったり、出血する期間も量も短く、少なくなります。)

 

 

どうしてこういうことが起こるのでしょうか?

 

考えられるメカニズムとしては以下のようなものがあります。

 

 

甲状腺というのはのどにある内分泌組織で、ここで甲状腺ホルモンを作るのですが、やみくもに作っているわけではありません。

 

甲状腺に「甲状腺ホルモンを作れ」と指示を出しているのは脳の一部の下垂体という組織です。

 

ここが甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulating Hormone: TSH)というものを作ります。

 

この下垂体に対してはさらに視床下部という部分が「TSHを作れ」という指令を出します。

 

 

この指令、どのように出されるかというと、基本的な最低量は常に維持するように指令が出ます。

 

でも、それだけではなくて、フィードバックというメカニズムに応じて産生量が変わります。

 

甲状腺ホルモンが足りていない、もっと必要だと感じたら、基礎分泌量に追加した分泌を促すためにTSHの産生量を下げます。

 

甲状腺ホルモンの量が多い、あるいは甲状腺ホルモンが働いたときにおこる作用が過剰に働いていると思ったときには、TSH産生を下げろというシグナルが出ます。

 

 

この下垂体というのは面白い組織で、甲状腺だけでなく、卵巣や乳腺への指令も発信しています。

 

卵胞発育を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)や、排卵後の黄体の産生を促す黄体化ホルモン(LH)も作ります。

 

こちらも卵胞ホルモンや黄体ホルモンの量に応じたフィードバックを受けます。

 

 

TSH、FSHそしてLHを構成するたんぱく質は、α鎖とβ鎖の二つで構成されています。

 

実は、三つのホルモンがすべて同じα鎖を共通で使うのです。

 

 

下垂体の中でこれらの三つのホルモンを産生する細胞は別々なのですが、α鎖は同じ遺伝子の転写調節によってたんぱく質が産生されます。

 

つまり、もしもTSH発現を強く抑え込むフィードバックがかかればFSHやLHの産生量も減り、卵胞発育が抑え込まれるかもしれませんし、逆にTSHをたくさん作るような指令が出れば、FSHやLHもたくさんできる可能性が高くなり、卵胞発育が亢進するのです。

 

 

 

橋本病では甲状腺の炎症によって甲状腺ホルモンが不足します。

 

このために脳下垂体は甲状腺を刺激するTSHを一生懸命に作ろうとします。

 

これに引きずられて、卵巣刺激ホルモンや黄体化ホルモンの産生量も上がり、卵巣でのエストロゲンやプロゲステロンの産生量が増えて、子宮内膜が過剰に反応して増殖し、過多月経になるというわけです。

 

 

ほかにもいくつかの意見があります。

 

たとえば、TSHそのものがFSH受容体やLH受容体に弱いながらも結合してシグナルを入れるというものです。

 

これもやはりTSHの産生量が上がるという状況が、月経過多を引き起こす遠因になっているということですね。

 

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