月経過多症

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月経過多治療法の欧米と日本とでの違い

 

月経過多 治療法について欧米で現在、どのような治療方法が主流なのかを調べてみたことがあります。

 

勝手に、自分が学生のころに教わったのと同じで、ホルモン剤(低用量ピルなど)による治療が第一選択なんだろうなと想像していたら、違いました。

 

欧米での月経過多治療の第一選択はNSAIDsの内服でした。

 

 

NSAIDとはNon-steroidal anti-inflammatory drugs

 

つまり、消炎鎮痛剤のことです。

 

日本での商品名は、ロキソニンとかイブプロフェンとかになります。

 

生理痛を抑えるために飲むあの薬たち、あれが過多月経を抑えるのにも有効であるという結果が示されているのですね。

 

 

ちょっと意外でしょう?

 

というか、シンプルに考えると出血を増加させるのではないかとさえ思えてしまいます。

 

というのも、NSAIDsはプロスタグランジンという物質の合成を阻害することで消炎・鎮痛作用を持つのです。

 

NSAIDsは血小板が産生するトロンボキサンというプロスタグランジンの合成も抑えますが、これは血液の凝固のために重要なプロスタグランジンなのです。

 

だからアスピリンなどは出血傾向のある人には慎重に使われます。

 

(胃潰瘍などの消化管の出血性疾患を持つ人では禁忌です。)

 

 

ではどうしてNSAIDsが過多月経に効果的なのでしょうか?

 

これ、そのメカニズム的には生理痛を抑えるメカニズムと同じ理由なのです。

 

 

実は、生理の期間中は、はがれようとする子宮内膜が大量のプロスタグランジンを産生し、これが子宮筋層に働きかけて子宮全体が収縮するのです。

 

NSAIDsはこの時のプロスタグランジンの産生も抑えるので、子宮の激しい収縮が抑えられて痛みが抑えられるし、同時に収縮が抑えられることで子宮内容物がぐいぐいと絞り出されるのが抑えられるので月経過多が抑えられるのです。

 

 

月経過多の人の経血は普通の生理の人のそれと違って固まりやすい状態になっています。

 

ですからそのときに子宮の激しい収縮が抑えられるとさらに固まりやすく、それで血管からの出血も止まりやすいのですね。

 

血小板の機能を抑えて出血する作用よりも、子宮の収縮を抑えることで血を固まりやすくする作用の方が効果的なので結果として経血量が減るというわけです。

 

 

NSAIDsが月経過多に効果的であることはコクランレポートという、世界的に有名な統計研究機関からのレポートでも認められています。

 

ピルやトラネキサム酸よりは効果が劣るものの、第一選択薬として広く認識されています。

 

 

でも日本ではあまり過多月経治療の目的では使われません(保険診療上の適応がありません)。

 

なぜでしょうか?

 

 

これはひとつには、「月経不順」に対する適応として処理できるので産婦人科の現場としても知っている人はその目的で処方していながらカルテには月経不順の治療目的と記載しているから、というのがあります。

 

でももうひとつは、日本ではNSAIDsよりも効果的な止血剤のトランサミン(トラネキサム酸)が月経過多に適応となっているからというのがあります。

 

添付文書の記載:
○局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
  (肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)

 

これ、海外では適応となっていないケースが多いようなのです。

 

日本は、トラネキサム酸の使用方法に関しては世界で最も多岐にわたる使い方が普及していて、かつ、臨床経験の多い国のようです。

 

 

国それぞれで治療方法が異なるのって面白いですね。

 

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